NIGHT&KNIGHT
「なんでわたしなの、なんで、なんで……もうやだ、できない……ちゃんとできない……っ」
「……あさひ」
顔をおおう。声の続くかぎり、叫ぶ。
喉がひりひりと痛んだ。
それでもわたしは獣のように叫びつづける。
「やだ、やだっ……もうほっといて、ほっといてよ!」
「あさひ」
よるくんに爪を立てる。力の続くかぎり、暴れる。
向かいの家の灯りがついた。
どこかで窓のひらく音もする。
「もうむり、できない、耐えられない……っ、疲れたの、もう疲れたの」
「あさひ」
「やだっ!」
よるくんを渾身の力で払いのける。
そのとき彼のポケットから、かしゃんと地面に落ちたスマホ。
ケースもフィルムも付けていないその画面には、わたしが送ったメッセージが表示されていた。
────────『もう死のうと思う』