NIGHT&KNIGHT
「あさひ」
実を言うと、わたしとよるくんはそこまで仲が良かったわけじゃない。
年も離れてるし、よるくんは男の子だし。
小さいときから最近まで、ほとんど話したことなかった。
……だから、知らなかった。
「もういいだろ。そろそろ、」
こんな
「自分のことを許してやれよ」
こんな、穏やかな顔ができる人だったなんて。
小さいときはよるくんのことが怖かった。
声は馬鹿でかいし、手も足も大きいし、口でかいし、なんか妙にガタイいいし。
ろくに顔なんて見てこなかった。
このときわたしは、はじめてよるくんの顔を真正面から見たかもしれない。
「辛いも苦しいも怖いも不安も許してやってよ、あさひ。それぜんぶ、お前がガキんときに出さなきゃいけなかった感情だよ」