消えないで…僕の初恋
しょうがない、帰るかぁ。
通学カバンを肩にかけ
靴箱に行くと
「渚ってさぁ~」
大好きな人の名前が聞こえてきて
私は慌てて
靴箱の裏に隠れちゃった。
渚くんと仲良しで
一緒にお昼も食べている
滝川君と内野君。
靴箱に上靴を入れて
帰るところらしい。
話の続きが気になって
私は身をひそめ、耳を澄ませる。
「罰ゲーム実行したらしいぜ」
「ポーカー負けた奴が
誰でもいいから告るってやつ?
渚が?」
「ああ」
「マジかよ。
で、渚は誰に告ったって?
まぁ、幼なじみなんだろうけど」
「俺もそう思ったんだけどさ
名前聞いてマジでビビったわ」
「亜美ちゃんじゃないのかよ?
誰だよ。早く教えろよ」
「同じクラスの姫野だって」
「はぁ?? マジかぁ
そりゃないわなぁ~」
「だろ?
姫野はないだろ?」
滝川君も内野君も正直すぎ。
相手がブサイクな私だからって
重いため息まで
プラスすることないじゃん。
私だって、自分なんかが
渚くんに告白されるなんて
思ってなかったもん。
驚いたもん。