消えないで…僕の初恋



「やっぱり姫野さんは
 田辺先生のことが
 好きだったんだね」



それならなんで
僕の告白を受けてくれたの?



僕が姫野さんへの想いを
熱く語ったから?


まぁいっかで
付き合ってくれただけ?




「姫野さんって
 田辺先生が好きだったの?」


「だから田辺の言うこと
 ホイホイ聞いてたんだ」



クラスメイトのヒソヒソ声が
教室のいたるところで
こだましている。



でも姫野さんは
なんの弁解もしない。


唇をぎゅっと結んで
辛そうにうつむいているだけ。



姫野さんは
カバンに荷物を詰め込むと


「ごめん。今日は帰るね」


結城さんと金田さんにだけ
痛々しく微笑んだ。



でも僕には
視線すら合わそうとしない。

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