消えないで…僕の初恋






お昼休みになりました。


お弁当を食べる準備でにぎわう教室の
一番後ろの窓際。


この特等席で
頬杖をつく私の視線は

廊下側で
最前列の席に座る男の子に
突き刺さっている。



渚君の席は
私から一番離れた場所



男女問わず優しい笑顔を振りまく
渚くんを見て、ため息が漏れる。



渚くんは普段から
私にも挨拶はしてくれる。


姫野(ひめの)さん、おはよう』


サラサラな髪を揺らしながら
細くて長い首を傾けながら
ニコって。


でもそれだけ。
それ以上の会話はなし。

私との挨拶が終われば
別の子に微笑んでいるしね。


本当は
『渚くんの特別』になりたいな。


『渚くんの彼女』という
特等席が欲しいな。



まぁ

地味で可愛くない私が
選ばれるはずないことくらい

自分で一番よく
わかっているんだけど。



< 8 / 105 >

この作品をシェア

pagetop