消えないで…僕の初恋
「姫野さんに
ケガがなくて良かったぁ」
首の後ろをさすりながら
視線を床に逃がしている
渚くんに聞きたいよ。
渚くんは
幼なじみの亜美ちゃんが
好きなんでしょ?
私は渚くんが大好きで
その想いを伝えたくて
ここにいるけれど
本物の渚くんを目の前にすると
やっぱり言葉が詰まっちゃう。
罰ゲームで告白された時の
みじめな自分を
思い出しちゃうから。
「資料室に入ろうっか」
渚くんの落ち着いた声に
私は無表情で頷いた。
渚くんに続き
3畳ほどの狭い資料室に入り
ドアを閉める。
いつでもこの部屋から
逃げられるよう
ドアに寄りかって立つことに。