もしも半分生きた人生をやり直すことができたら。
しかし、そんなわたしの人生の中で、確実な分岐点になった人と、わたしは出会うことになる。

それは、高校時代に付き合っていた元彼だ。

高校時代は私の生きた半生の中でも、突出して荒れ狂っていた時期であった。
元彼はわたしの矛盾しているのに、制御できない“狂い”にたぶん、気づいていたと思う。
「力になりたい。助けたい」と言って抱きしめてくれた。
まだ精神的にも幼い高校生だったあの人のその言葉を“この人もきっと裏切るかもしれない”と決めつけて、心から彼を信じきれず、彼の腕を振りほどいてしまった。

今となれば、当時、あの歳でその言葉を伝えてくれたことの偉大さと、あの瞬間に彼を信じ、胸の奥底にしまい込んだ歪んだ思いたちを吐き出せば、わたしの未来は変わっていたのではないか、と思う。

しかし、あの時代をぎりぎりで必死に生きていたあの頃のわたしには何が原因で、何が理由で、こんなにも醜い人間になるのか、何と葛藤しているのか、なぜこんなにも虚しく、苦しいのかを考える心の余裕すらなかった。

高校を卒業し、選んだ先は専門学校で、21歳の時、死ぬ気で取得したネイリストの資格を活かし、新卒で就職した先は美容院とネイルサロンが併設するサロン。
社会人を半年経験したのち、ある程度収入が安定したこと、仕事に慣れたこともあり、逃げるように実家を飛び出し、一人暮らしを始めた。
だが、新卒で就職した職場の人間関係が泥沼かつ、最悪で、うんざりしたわたしは22歳の時に退職することにした。
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