もしも半分生きた人生をやり直すことができたら。
わたしは二十一歳で社会人になり、家から逃げるように出た後、不注意の事故で死ぬまでの間、お正月ですら実家に帰っていなかった。
家を出てからは一度も帰らなかった。
周りからは、親不孝とか色々言われたけど、幼い頃から居心地が悪かったあの家にいるのも、帰省するのも怖くて堪らなかった。

ただご飯を食べるだけのこの時間すらも、胸が張り裂けそうなくらい痛くなった。
心は二十五歳の成長したはずのわたしなのに、まだ振り返るとキュッと心が痛むんだと感じた。





わたしがルナによって過去に戻されてから1週間が経った。
過ぎていく日常に特に変わったことは現れなかったが、気づいた事があるとすれば、久しぶりの小学校生活を過ごしていても、実際、二十五歳のわたしは、家族に警戒していて、うまく接することができないということ。

家に帰るのが憂鬱で、夕方遅くまで友達と学校で遊んで帰った。
昔は勉強が苦手で、授業を一生懸命聞いていても、全く理解できなくて、なかなか自信を持って手を挙げられ無かった授業も今のわたしは率先して解きに行ったりした。
物事の流れが分かっている事、理解できているんだと感じて過ごす毎日はとても充実していて、毎日が楽しくて、キラキラしていて、魅力的だなと思えた。

あの頃のわたしは、ただただ毎日が早く終わってほしい、早く大人になりたいとばかり思っていて、一日一日を本当に無駄にして生きてたなぁ。
< 35 / 46 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop