もしも半分生きた人生をやり直すことができたら。
「結月ー」
「んー?」
ある日、母から今日は必ず紫月と下校するように言われる。
いつも低学年は保護者と下校しているが、その日はたまたま一斉下校の日であり、放課後も遊ぶことが許されない日だった。
一斉下校の日は母はわたしに紫月を任せる日でもあった。
「なんで?」
「なんでも」
紫月は小さい頃から身体が弱かった。
歩くのが遅くて、支度ももたもたしてて、そんな紫月にイライラしていたし、できないのに紫月はいつも責められず、母親や父親から手助けされていた。
何かと構ってもらえる紫月に嫉妬していたし、なんでわたしなら「早くしなさい」なんて急かされるのに、紫月は許されるの?とばかり思っていた。
その日の下校時、わたしは用事があり、担任の先生から呼び出される。
「ゆっちゃん、皆んな帰っちゃうよ」
「あ、しー、1人で帰れる?先生に呼ばれたからちょっと職員室寄らないと」
「いい。ゆっちゃんここで待つ」
「分かった。10分も掛からないから、靴履いて待ってるんだよ」