「会いたい」でいっぱいになったなら
コンビニから家までは車ですぐ。
アッという間に到着する。

トンッ。
助手席のドアを閉める。

そのままパワーウィンドウが開き、健が顔を見せる。

「ありがとう!気つけてね」
「どういたしまして。ほら、早く入って」

「はーい。じゃ、おやすみなさい」
「おやすみ」

手を振ってアパートのオートロックを解除する。

2階の部屋に入り、電気をつけてベランダへ出る。
健は部屋の明かりがついたことを確認してから車を走らせる。


今も昔も、優しい人だ。
心臓がきゅっと締まる気がして、そっと胸に手を当てた。

そして、健を想った。



健には彼女がいる。
私も知っている、フットサルサークルの先輩、花ちゃんだ。

花ちゃんはものすごく美人。
その上、みんなに優しくて、面白かった。
健と花ちゃんは大学内でも有名になるくらい、美男美女で有名な憧れのカップルだった。


さっきみたいに優しくされたり、腰に手を回されると、自分が特別なんじゃないかって誤解しそうになる。


健には花ちゃんがいる。


健にとって私は『妹みたいな子』って分かっている。


かわいがってもらっているって分かっている。




だけど、ずっとくすぶっているこの恋心はなかなか消えそうにないと思うのだった。

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