「会いたい」でいっぱいになったなら
シャワーを浴びて出てきた俺は、目を疑った。

美琴がソファから落ちて、床で丸くなって寝ていたのだ。
手をグーにして、まぶしかったのか腕を顔の前でクロスしている。

それはまるで昔実家で飼っていた猫のようで笑えてくる。

顔にかかった髪をそっと耳にかけてやると、それはそれは幸せそうな顔をしていた。

「ふふっ。良く寝てるなあ」

その姿がかわいらしくて笑ってしまう。

美琴をそっと抱き上げ、所謂お姫様抱っこをして寝室のベッドに連れて行った。



ベッドに横たえると、美琴はうっすらと目を開け、俺を見て微笑んだ。

美琴の細い指は俺のTシャツの裾を持っている。

美琴の瞳を見つめると、美琴もじっと見つめ返してくる。

そして、そっと目を閉じた。

俺はそれに誘われるように唇を合わせた。

そっと。そっと。


始めは軽かったキスもだんだんと深くなっていく。

「・・・ん・・・あ・・・」

美琴の声に理性が飛んでいく。

服を脱がし、その首に、胸にキスする。

ブラをずらそうとしたとき・・・

「ぐーーーー・・・ぐーーーー・・・」

美琴はいびきをかいた。

「マジか?ふっ。
くっくっくっくっく」

起こしてはならないと必死に笑えを堪えたが、肩が震えてしまう。


「くっくっくっ。かわいいな・・・ふふっ」

俺は笑いながら美琴をぎゅっと抱きしめた。

「うっ」
と眉間にしわを寄せる美琴を見て、また笑いがこぼれる。




俺は着ているTシャツを脱ぎ、下着姿の美琴にかぶせた。

安らかな表情の美琴の額に一つキスを落とし、今度は優しく抱きしめた。
まるで子猫を撫でるかのようにそっと。


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