「会いたい」でいっぱいになったなら
シャワーから出るとたたまれた洋服が置いてあった。

Tシャツにパーカーとひざ丈のジャージ。
一番上にはまだ開封していない新品のボクサーパンツがあった。
脱いだパンツの代わりにこれを履けということなのだろう。

だぼっとした黒のパーカーだからブラは付けなくてもいいかな。
ずれ落ちてしまうので、ジャージの紐を固く結ぶ。

一緒に置かれた紙袋に私が着ていた服が入っていた。


鏡の前で濡れた髪を乾かしていた。

さっきシャワーを浴びながら、自分の体を観察しながらしっかりと体を洗った。

キスマーク的な跡もついていなかった。

でも付けられてないだけかもしれないし。

でも、服着てたし。

でも、コウさんの来てた服をそのまま私に被せたっぽかったし。
でも、さすがに何かあったら気が付くだろうし。

でも、私一回寝たら起きないし。


「『でも』だらけだなあ」
とつぶやいた。


頭の中はぐるぐるしてしまっているとはいえ、随分とご迷惑をかけてしまったに違いない。

「申し訳ないなあ・・・」

ざっくりと髪を乾かして、脱衣所のドアをスライドさせた。 

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