「会いたい」でいっぱいになったなら
「美琴」
「?」

「美琴は、花さんと明石さんが結婚するって思ってたんだよね」
「・・・うん」

「花さんの相手は明石さんじゃなかった。
ねえ。美琴が本当に好きなのは俺じゃないんじゃない?」
「そんなことない!」

コウさんは顔をしかめた。

「うん。俺のこと好きって言ってもらえてめちゃめちゃ嬉しい。
俺も美琴のことが大好きだよ。だから・・・」

コウさんは悲しそうな顔のまま、手の甲で私の頬を撫でる。

「だから、もう一度考えて。
美琴の気持ちがどっちにあるのか」

ぎゅっと抱きしめられる。

「俺の方を選んで欲しい」
「コウさん・・・」

体を離し、肩にそっと触れていた。
私がコウさんを見上げると目が合った。

私の瞳の中を探るかのように見つめた後、
「じゃ、帰る。ごめんね」

と言って、車に乗って帰っていった。



私は走り去る車を見つめていた。

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