「会いたい」でいっぱいになったなら
「ずっと美琴のこと妹みたいに思ってた。
社会人になって俺の前に会わられた美琴は綺麗なお姉さんになってて、なのに、昔と同じように可愛い妹のように思ってた。

頑張って仕事覚えて、バリバリ働き始めて、かっこよくなって。
でも、二人で話すと昔のままの可愛いい美琴だった。

俺しか知らない美琴が・・・大切で・・・好きになっていったんだ」


喉を潤すかのようにビールを一口飲み、グラスを持ったまま話し続けた。
私も喉がからからになっていることに気付いて、ビールを飲んだ。

そして、静かに気になっていたことを尋ねた。


「私は健は花ちゃんと付き合ってると思ってた」

「そんな噂もあったけど、それ完全にガセだから。
花はただの友達。
そもそも、俺が二人を紹介したんだ。

浩之と花に怒られたんだよ。
どうして美琴に告白しなかったのかって。
どう見ても両想いだったのにって。
意気地なしと」


「今更、なんでこんなこと言うの?」


こちらを向いた健と目が合う。



「俺、美琴を離したくないから」



真剣なその眼差しに目が反らせられない。


「これまでも好きだって言おうと思ったんだよ。
でも、今の関係が壊れるのが恐くてなかなか言えなかったんだ」

「・・・・・」



「俺、美琴が好きだ。付き合って欲しい。
・・・もう、遅いかな?」

健はじっと私を見つめた。

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