【完結】一途な想いは彼を狼にする
30分ぐらい経っただろうか、車は速度落としてゆっくりと止まった。
「おい、着いたぞ」
「明美ちゃん、起きて家に着いたよ」
「ぅ〜ん」
明美ちゃんは私たちの声掛けに反応はするがすぐにまた夢の中へと旅立ってしまった。
「明美ちゃん起きないね、どうしよう」
「遥香、こいつの家の鍵の場所知ってんのか」
「え、うん多分」
すると涼介は後部座席に移動して明美ちゃんをおんぶする形で背負い始めた。
「これでいいだろ、行くぞ」
「うん、すぐ行く!」
私はこういう優しさを持っている涼介だから彼に惚れたのだ。