【完結】一途な想いは彼を狼にする
「照れ隠しと嫉妬」
「おい、遥香」
「あ、涼介!」
項垂れる明美ちゃんを支えるのに限界を迎えていた所にタイミング良く現れた涼介は隣に視線を向けると何かを察したのか深くため息をついていた。
「遥香、車で送ってやるからソイツの家教えろ」
「え、いいの?!」
「何のために迎えだよ…」
呆れた涼介を他所に高校卒業と同時に免許取得したという車に乗り込めば明美ちゃんはすっかり夢の中に入っていた。
「なぁ遥香、お前の友達送り終わったら話がある」
「め、珍しいね。涼介がそんなこと言うなんて」
どこか真剣な眼差しで見つめてくる彼に胸がキュンとしてしまった。
「いいから、さっさと行くぞ」
「う、うん!」
普段の涼介からは想像することができない態度に顔が火照るのを感じた。