真夏の夜

日曜日②

妻は台所で明日の弁当の準備をしていた。

僕はしばらくスポーツニュースを観ていた。

「明日は私も朝から秋の試合を観に行くわ。あなたはどうする?」

「僕は行かない」

「秋もあなたが来れば頑張れるんじゃないかな?」

「それはない。あの子は俺が見ていようが見てなかろうが君と一緒で頑張るときは頑張る子だ」

「気が向いたら応援に来てね」

僕は飲みかけのビールを持ったまま部屋に戻った。

次の日の朝は曇り空だった。

一階に行くとジャージ姿の秋が支度をしていた。

「いってらっしゃい」

僕がそう言うと秋はいってきますと言い、妻の運転する車にラケットを入れた。

リビングに行き水を一杯飲んだ。

今日は何をしようか。

昼になると雨が1時間ほど降った。

だが、止むにつれて太陽が出てきた。

テレビでは野球が放送されていた。

圭太が「出掛けてくる」と外に出た。

「うん、気をつけて」

ビールを飲みながら、しばらく野球を観戦していた。

秋の試合結果はと言うと、個人では準優勝、団体では二回戦敗北とののとだった。

秋は頑張ったのだ。

次の日の朝、いつも通り事務所に行った。

受付けの女の子は僕より先に出社し、コーヒーを淹れてくれた。

ソファーに座り煙草に火をつけた。

今日のスケジュールを確認した。

その中に個人名があり、僕は思わず家に設置するの?と聞いた。

どうやら自宅兼事務所のようだ。

先日事務所に電話があり、彼女が契約までとったようだ。

「話が合うお客さんだったので、思いきって商品を勧めたら契約が取れました」

彼女は誇らしさの中に照れを隠せずにいた。

僕の周囲は仕事のできる女性が多い。

ありがとう、僕は営業の準備をした。

「今日は夕方まで帰ってこない。」

事務所を出る際に彼女に言った。

「わかりました。いってらっしゃい」

「ふむ」

「ふむ?」

彼女はそう言ってクスッと笑った。

世の中には僕の些細な行動をおもしろいと思う人もいるようだ。

自宅兼事務所に着いたのは、14時だった。

インターフォンを鳴らすと女性が出てきた。

どうやら彼女はインテリアのデザイナーのようだ。

お洒落なデザインの雑貨がいくつか並んでいた。

彼女はOA機器まで僕を案内すると、デスクに戻り図目を何度も見直していた。

作業が終わりいつものように動作確認と操作説明、最後にサインをもらった。

およそ2週間後の金曜日、我々家族は千葉までキャンプに行った。
< 5 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop