iDOLの恋人~好きになった人は超有名人でした~


「莉奈ちゃん!起きて!莉奈ちゃん!」

突然目の前に弟の亘が立っていてびっくりして飛び起きる。

「な、なによ!どうやって入ったの!」

「このマンション管理してるのうちの会社じゃん。そんなことも知らないの?」

ああ。そっちのコネ使って開けたのか…。ってそれセキュリティどうなってんのよ!

「それより、テレビ、つけて。」

「は?」

こんなに体調悪いのにテレビの音なんて聞きたくないと思うけど、亘はおかまいなしにテレビの電源を入れる。

部屋に大音量が響き渡る。日本を去る前にネット配信サービスの映画を見てたのがそのままになっていたらしい。

チャンネルを探していたらしいが、探り当てたらしく、亘が「ここだ」と言って映し出した画面を見てびっくりした。

テオが大画面にでかでかと映っている。

何?会見開いてるの?
メイクはしていなくて、素のまじめなテオだ。

「どういうこと?」

「まぁ見てなって。」

亘がにやりと笑ったことをわたしは知らない。そのあと画面に集中してしまったから…。

そこに映し出されたテオはとても、決意に満ちた表情をしていた。

もしかして…
発表するのかなぁ…と思った。

ミン・ユナとの婚約を…。

『この度はお集りいただきありがとうございます。』

テオはその言葉を韓国語と日本語で2度繰り返した。

え?なぜ日本語?

テオが日本語に堪能なことはファンの間でも知られていたが、公の記者会見などでここまで鮮明に流暢な日本語を披露したのははじめてだろう。
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