競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。

「見てなさい、アケボノソウと桜宮騎手はアタシの推しだから!単勝128倍1000円…一点勝負!」

目と鼻の穴を広げた由良先輩…美人が台無しですが。

スタートでアケボノソウは出遅れて最後方……由良先輩のだめだあ!!という悲鳴が響いたのが、直線前の4コーナー(角)。

アケボノソウは前を走る馬群から何馬身も離されてた。先頭の馬から距離にすれば20m程度。

とても勝てない……素人の私でもそうわかる。

でも、なんとなく私にはわかった。

さくらくんは諦めてない。絶対諦めないって。

(頑張って、さくらくん…アケボノソウ!)

さくらくんがムチを振るった瞬間ーーアケボノソウの体がグッと沈み込んだように見えて、ものすごい勢いで加速していく。

そしてそのまま馬群に取り付くと、前の馬を見る間に抜き去る。

1頭…2頭…あっという間に馬群の6頭を抜いたアケボノソウは、直線半ばで先頭集団に追い付いた。

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