競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。
(はあ……疲れたな)
ようやく残業が終わり、タイムカードを打刻して正面入り口から出る。足とともに出たのはため息。今日は会社の外線にさえ、桜宮騎手に関する電話が入って大変だった。由良先輩や課長が庇ってくれたけど……業務に支障をきたしてる。
(このままじゃまずいよね……なんとかしないと。私の責任なんだから)
このまま放置したらいつかは収まるかもしれないけど、それじゃあ社会人として無責任過ぎる。居酒屋で待ちあわせしてる由良先輩に、もう一度相談してみようかな……。
顔を伏せたまま街路樹のある公道までとぼとぼと力なく足を進めた私の前に、スッと黒い影が落ちる。誰だろう?と顔を上げると、そこにいたのは2日前に私をフッた元カレだった。