競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。
タクシーで着いた先は、由良先輩と待ちあわせしていた居酒屋。彼女は既にいくつか注文してくれていて、私達がテーブルに着いてすぐお冷が運ばれた。
「さくらくん、どうしてここがわかったの?」
私の素朴な疑問に、隣に座ったさくらくんが親指で頬を掻く……あ、照れた時の癖だ。
「……以前父さんから聞いたんだ、さくらちゃんがオレを探してたって。だから父さんに花井のおじさんと連絡を取ってもらって……厚かましいかもだけど、働いてる会社を教えてもらったんだ」
さくらくんの後に由良先輩が説明を付け足した。
「そ!実は桜宮騎手……昼に一度会社に来てたんだよ。受け付け前でうろうろしてたから、不審者に間違われて警備につまみ出されそうになったけど。アタシが競馬のジョッキーだから!って証言して無罪放免」
「葛城さんにはお世話になりまして…」
さすがにさくらくんもしゅんとしてかわいいけど……知らなかった。彼が会社に来てたなんて!
「なら、教えてくだされば…」
不満に思ったけど、それより先にすべきことがあると気づいて彼に頭を下げた。