競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。
お冷を掴んてごくごく飲むと、空いた手にぬくもりを感じた。さくらくんの大きな手が、私の手を包み込むように重なってたんだ。
「……ありがとう。君のその言葉だけで頑張れるよ」
「さくらくん……」
「改めて言わせてほしい。さくらちゃん……オレと付き合ってほしいんだ」
熱っぽい視線と体温……ギュッと手のひらを握りしめられ、心臓が破裂しそうなくらい速く鼓動を刻んでる……。
指先から感じる、甘さを含んだ痺れるような幸福感に酔いそうだった。
……でも。
本当にいいのか、なんだか不安になる。
「わ、私でいいの……?私……ただの一般人だし……なにもない。騎手のさくらくんの邪魔にならない?」
「いいんだ。オレは、ありのままのさくらちゃんがいい。飾らない素のままで……君は、そのままで十分かわいいし魅了されるよ」
「……さくらくん……」
さくらくんは嘘をつかない、まっすぐで実直な人だ。お世辞だってめったに口にしない。だからこそ信用できるから……言った言葉は本心から。
ブワッ、と涙があふれて止まらなくなった。
「……ありがとう。こんな私でよければよろしくおねがいします……」
すると、さくらくんにギュッと抱きしめられた。
「ありがとう…!きっと大切にするから。信じてついてきてくれ」
わわわ…!と、私は全身がゆでダコ状態で、頭が真っ白になった。