競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。

１２時になってなにか食べよう、とさくらくんが言ったから、私がお弁当を作ってきたと告げると嬉しそうにしてくれた。
ベンチとテーブルが設置された休憩スペースに移動して、私が作ったお弁当を開ける……のだけど。バスケットからでてきた人の頭ほどの大きさのおにぎりに、さすがにさくらくんも顔が引きつってた。

「ごめんね…ほんとはもっと色々おかずを詰めたちゃんとしたお弁当にしたかったんだけど。でも、お米たくさん食べれば力になるでしょ？チキンナゲットとウインナーと目玉焼きとチーズも入れてたんぱく質も！」
「あ、ああ……ありがとう、さくらちゃん」

さくらくんは両手で持ったおにぎりに、かぶりとかぶりつく。口いっぱいにほおばって、「ふん、おひひーふぉむ、はひー」って言うから、なんだかおかしくて。

「あ、笑うなよー」
「ごめん、ごめん！だってさくらくんの言い方……ぷっ」

お茶で流し込んださくらくんは怒ったふりして、軽く私を小突く真似。それでも遠慮なく笑わせてもらった。