競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。


動物園から出て、夜ごはんはファミレス。
お昼のお礼、とさくらくんがご馳走してくれた。

「ごめんね、こんなお店で……ほんとはフレンチレストランとかがいいんだろうけど」
「ううん……私は全然こっちがいい!だってマナーなんてわからないし、ファミレスの方が色々選べるもんね」

それは本音だった。それに…。

「さくらくんと一緒なら、どこでもいいよ……」

思わず本音が出てしまい、慌てて口を塞ぐ。

(きゃー!私……なに言ってるの。恥ずかしすぎる)

いたたまれなくてメニューを選ぶふりをして、メニュー表で顔を隠す。顔が絶対真っ赤だ。

急いでメニュー表をめくろうとして腕を大きく振りすぎたせいか、お冷を入れたコップを落としてしまい、テーブルの下に転がってった。

イスを引いて急いでテーブルの下に潜ると、なぜかさくらくんも同じ状態。

「さくらくん……っえ?」

え、と言ったあたりで……微かな柔らかさを唇に感じた。

「ごめん……さくらちゃんがあまりにもかわいいこと言うから……」

真っ赤っかなさくらくんの顔で、ゆっくりと何があったか頭が理解していって。

まるで高熱が出たかのように、全身がカアッと熱くなった。


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