競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。
『中京第3レースの騎乗変更についてお知らせいたします。11番ハッピーエンド号の騎手は桜宮翔馬騎手54キロより、藤崎秋人騎手54キロへと変更となりました』
場内アナウンスが競馬場内に響き渡りターフビジョン(馬場内にある電光掲示板)にも、乗り替わりの表示が出た。
「え、さくらくん……レース出ないの?」
土曜日の昨日は騎乗が無かったから、朝の調教(競走馬のトレーニング)が終わったらデートできたんだけど。今日は6鞍の騎乗があったはず。体調管理は気をつけてたし……まさか、ケガでもしたの?
心配になってライムを送ろうとしたけど、ベンチに並んで座ってた由良先輩に止められた。
「やめときな。今は連絡取れないよ。それよか原因はなにか調べたげるから」
「は、はい。お願いします…」
由良先輩に言われたとおりだ。焦っても仕方ない。
由良先輩の方が色々詳しいんだし……しばらくスマホで検索してた先輩は、ふうっと大きなため息をついて、「そういうオチですか」と呟いた。
「わかったよ、さくらっち。彼の騎乗変更理由」
「え、本当ですか?」
私が飛びつかんばかりの勢いで立ち上がると、由良先輩はもう一度ため息をつく。
「負担重量超過……つまり、規定体重をオーバーして、太りすぎったってことよ!騎手としてあるまじき事だわ」