競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。

会社がお盆休みでよかった。平日なんてなかなか休めないもんね。

平屋建てのような木造の建物がズラリと並んでる様は圧巻。地面は馬の脚に負担がかからないよう、砂が敷かれてる。さくらくんに案内してもらって厩舎を訪れると、スタッフらしき壮年男性に声をかけられた。


「お、さっくんの婚約者か!話は聞いてるよ」

そう言われ、ええっ!?と、びっくり&どっきり。

「さ、さくらくん…」
「ごめん……身内でないと連れてこれないから…」

隣にいたさくらくんを咎めるように見上げれば、ばつが悪そうな顔をしたけど。でも、と真剣な顔つきに。

「でも、オレとしてはそのつもりだから。ちゃんとさくらちゃんとのこと考えてる」

繋いだ手をぎゅっと力強く握りしめられ、そんな事を言われたら…。

男性に免疫がない私は、真っ赤っかなゆでダコ状態になるしかない。

「あははっ!さっくん、あんま見せつけんなよ」
「はい、肝に命じます」

真面目な顔をしたくせに、さくらくんは私の手に自分の指を絡める……いわゆる恋人繋ぎをしてきたから。心臓がオーバーヒートしそうだよ!



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