競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。
翌日、由良先輩から不思議なライムが来た。
『さくらっち、明日逢える?課長も一緒なんだけど』
(え……?課長も一緒?どういうこと??)
今はお盆休みで先輩とは1週間近く会ってない。課長は家族サービスで奈良へ帰省してたはず。
なんだか嫌な予感がしたけど、そういう時に限って的中する。
「え、リストラ!?」
翌日。待ちあわせた喫茶店で聞いた話に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
しっ、と由良先輩は人差し指で私の口を塞ぐ。
「あんまり大きな声を出さないの。あくまで課長が聞いてきた……まだ内部の機密事項なんだから」
「ご、ごめんなさい」
しゅん、と項垂れると、課長は深いため息を着いた。
「実はメインの海外取引先より日本法人との合併案があるんだ。経営陣はそれを受け入れる方向でいるが、その際問題なのは人材。あちらの日本法人がベースとなる以上、うちの方が人員整理の対象となる。非常に言いにくいが、花井さん。おそらく事務補助は一番に対象になるだろう」
リストラ対象……
まさか、自分が?
「で、でもわからないよ!まだ決まってないし…ね、課長!」
「ああ、私がどうにかするつもりだから安心しなさい」
頭が真っ白になって、由良先輩や課長が慰めてくれてもすべて耳からすり抜けていった。