競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。
最終話 ゴール!
新潟の病院には、さくらくんのお父さん…おじさんも駆けつけてた。
「さくらちゃん!お久しぶりだね」
「はい、ご無沙汰してます」
待合室で頭を下げた私に、おじさんは穏やかな笑顔を向けてくれた。
「翔馬から話は聞いてるよ。今までずいぶんあいつを元気づけてくれて…ありがとう。これからも支えてやってほしい」
そんなふうに言われてしまってはいたたまれない気持ちになる。私とさくらくんはもう…
「……あの、私は……さくらくんと」
「誤解された、とあいつが言ってたよ。自分が不甲斐ないからだ…ってね。だが、あいつはさくらちゃんと別れるつもりは絶対無いって言い切ってたよ」
「えっ…」
意外な言葉に、思わずおじさんを見返すと彼は「とりあえず座ろうか」と促してくれて、ソファに並んで座るとおじさんが大きなため息を着いた。
「翔馬にはいつも苦労させてばかりだった。早くに母親を亡くし、寂しいだろうに乗馬クラブを手伝いながら家のこともやってくれて…あいつが中学生のころ、ぼくが友人の借金の保証人になったんだが…そいつが不渡りを出して夜逃げ。結局、返済のために乗馬クラブを手放す羽目になり、アパート暮らし。翔馬は他に夢もあったのに…騎手になって楽させてあげるから!と自ら競馬学校を受験し騎手になったんだ」