競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。


春、4月。

3歳牝馬クラシック第一弾、桜花賞(おうかしょう)が阪神競馬場で行われる。

優勝候補は新潟2歳ステークスと阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)、前哨戦チューリップ賞を制したアクアスター。今まで4戦無敗の圧倒的1番人気。

アケボノソウはチューリップ賞3着でようやく優先出走権を取れた12番人気。けど、今日はやっと復帰したさくらくんが騎乗する。

心なしか、アケボノソウの気合いがパドックからいつもと違うように見えた。

「アケボノソウ、調子良さそうね」
「そうだな。一番気迫を感じる」

パドックで一緒に並んで馬を見るお父さんと由良先輩…もう、2人一緒がごく自然に見える。

(さくらくん…アケボノソウ、頑張って!)

心の中で応援して、2人を邪魔しないようコースの前のスタンドに出た。

騎手が騎乗した馬たちが次々と馬場に返し馬(レース前のウォーミングアップ)に出てくるとき、アナウンサーが各馬の解説をする。

アケボノソウの返し馬も、弾むような見事な走りだ。

「祖母、ハルイロノメロディー。母、サクラソウ。2頭が果たせなかった夢を乗せて、アケボノソウは桜の異称。満開の桜を咲かせるか!アケボノソウと、桜宮翔馬!!半年ぶりのコンビ復活です」


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