競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。

さくらくんに、必ずウイナーズサークルの最前列にいてね、と言われた。G1だから早めに場所を確保しないと…。



『桜花賞、スタートしました!』

出遅れはなく、綺麗なスタート。1番人気アクアスターは中団待機。3番人気クロボシが逃げてレースを引っ張る。

アケボノソウはアクアスターよりやや後ろの後方にいた。以前見た時より落ち着いてる。

1、2コーナーはさほど位置が変わらす。3コーナーを過ぎてから、上がって(前へ)くる馬が増えてくる。それでもアクアスターも、アケボノソウもじっと動かない…そして。4コーナー手前で、アクアスターの騎手がムチを振り上げた。

グン、とアクアスターがものすごい勢いで加速した。見る間にごぼう抜きをして、直線入り口で先頭のクロボシに並びかける。

(アケボノソウ……さくらくん!今!!)

遂に、さくらくんがムチを振り上げた。

先頭に変わったアクアスターとは、ゆうに15馬身差はある。

だけど。

アケボノソウが首を下げ姿勢を低くすると、たちまちスピードが増す。
まるで、他の馬が止まっているように見えた。

15頭もの馬をあっという間に抜き去ったアケボノソウは、ゴールまであと数m手前でアクアスターに追いつく。

馬体を合わせたまま、2頭はゴール前にもつれ込んだけど。

『ゴール!アケボノソウです!桜宮騎手とアケボノソウ、その名の通り桜花賞を勝ち、見事に満開の桜を咲かせました!!』
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