極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません

今日はたまたま病棟待機の日で、俺のスケージュール的には落ち着いていた。
そもそも、来月末には地元に帰る予定になっているから最近は残務処理の方が多くて新しい患者を持つことも少ない。

ブブブ　ブブブ
ん、着信？

普段は仕事中にプライベートの携帯を持ち歩くことはないんだが、少し前に入院した母のことがあってから一応仕事中も持つようにしている。

えっ、泉美さん？
意外な人からの着信に驚いた。

「もしもし」
「太郎さん？」
「はい。泉美さん、どうしました？」
すこし焦ったような口調に何かあったんだと感じて、挨拶もせずに聞き返した。

「実は美貴が」
「美貴さんがどうかしたんですか？」
「お腹が痛いって言って、救急を受診しているの」
「救急ってうちの？」
「ええ、そこがお店から一番近かったから」

そういえば、この間会った時も体調が悪そうだった。
必要もないのにダイエットなんてしているから、やめなさいって注意したばかりだ。

「太郎さん、実は・・・」
なんだか言いにくそうに言葉を止めた泉美さん。

何かあるんだろうと思いながら、俺は次の言葉を待った。