極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
その後救急外来の先生から美貴さんを引き取り、産科の診察を受けさせた。

産科部長には
「結果は一緒に聞くの?」
と尋ねられたが、
「いえ、僕は彼女から聞きますので」
と断った。

同じ病院にいれば、診察内容を知る手段はいくらでもある。
もちろんそのことは美貴さんにだってわかっているはずだ。
だからこそ、美貴さんの口から直接聞きたい。


「お疲れさま、どうだった?」
診察室から出てきた美貴さんに声をかけた。

少し前に会った時よりも血色がいい気がするけれど、以前に比べれば痩せた印象。
冷静に考えれば医者じゃなくても妊娠に気づきそうなものなのに、全く想像していなかった。

「じゃあ行こうか」
と手をとろうとした俺に、1人で帰りたいと抵抗を見せた美貴さんだったけれど、

「このまま家に連れて行くから、君は休めばいい。ただし、話さないといけないことは話そう。先延ばしにいていいことじゃないはずだろ?」
俺にしては珍しくきつい言い方をしてしまった。

まあ俺だって、それだけ余裕がないってことだ。
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