極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
仕事柄か、生まれ育った環境からなのか、普段から外面がいいとよく言われる。
もちろん家族や親しい友人には遠慮なくものを言うし、毒舌だったりもするが、表面上は人当たりのいい好青年を演じているという自負がある。

「今、妊娠しているんだよね?」
わかりきったことだが、直接本人に聞いてみた。

なかなか返事をしない美貴さんにイラっとしながら、一応妊娠していることは認めさせた。
しかし、「何か月?」の質問には回答なし。
「僕の子だよね?」と聞けば、「違います」と返事をする。
本当に頑固な人だ。
それでも、根気強く「君のことが好きなんだ」と言い続けたら、恋愛や家族に関するトラウマについて話をしてくれた。
それを聞いて、今までの美貴さんの態度が腑に落ちた。
同時に、彼女が愛おしくてたまらなくなった。
ただし、彼女の言うことをすべて受け入れたわけではない。
俺にだって、人として小児科医として譲れない部分はある。
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