極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「勝手な言い分だね」

人を信じることができないから一人で生きていく。でも、寂しいから子供は欲しかった。そう言った美貴さんに俺は冷たく言い放った。
美貴さんの事だから、いい加減な気持ちではないと思う。
どんなことがあっても子供を大切にして、愛情深く育てっていくことだろう。
でも、普段から色々な子供とかかわっている俺には納得できなかった。

「子供はおもちゃじゃない」
「なぜ、子供から父親を奪うようなことをする?」
「本来お腹の子が受けるべき愛情を君の一存で奪おうとしているんじゃないのか?」

もう少し優しい言い方だってあったはずなに、体調の悪い美貴さんによくもまあこんな酷いことを言ったものだと自分でも思う。
案の定、美貴さんを泣かせてしまった。

ボロボロと涙を流す美貴さんに、「ごめん、キツイことを言った」と謝っても後の祭り。
すっかり落ち込んでしまった美貴さんを膝に抱き、
「美貴さんにとってもこの子にとっても一番いい方法を、もう一度考えてみよう」
と言うのが精一杯だった。
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