極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません

桃花の話によると、相手は以前同じ部署にいた上司の女性。
年齢は30歳。
４歳の男の子を育てるシングルマザーらしい。

「すごいのよ、仕事もバリバリして一人で子供も育ててそれでも綺麗で素敵なの」
「知っている人なの？」
旦那の不倫相手かもしれない人のことを話しているとは思えない桃花に、違和感を感じた。

「駿の大学の先輩で、私も何度か会ったことがあるわ」
「ふーん」

それじゃあなおさら、ただの友達じゃないのかな。
駿だって桃花の知っている人とそんな関係にはならないでしょう。

「この間、子供の保育園の運動会に駿が行ったの」
「え？」
「未婚のシングルマザーでパパがいないからって、駿が一緒に駆けっこをしたらしいわ」
「ふーん」

それって、桃花にとっては嫌なことよね。
でも、今未婚のまま子供を産もうとしている私は何年後かの自分の姿として見えてしまう。
それは数年後に確実に訪れる未来だから。