極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「駿ね、子供が好きなのよ」
「へー」
そうなんだ。知らなかった。

でも、駿が子供と遊ぶ姿って想像できるかも。
きっと優しいパパになりそうだものね。

「ねえお姉ちゃん」

ん?
呼ばれて桃花を振り返ると、すごく真剣な顔。

「どう、したの?」
桃花、顔が怖いよ。

「私ね、子供は生めないって言われているのよ」
「そんな」
「まあ、あんなに体が弱かった私がこうやって普通に暮らしているだけでもすごいことなんだから、贅沢は言えないんだけれど」
仕方ないわよねって笑って見せる桃花が痛々しい。

大人になりすっかり元気になったように見える桃花だけれど、やはり受診や投薬は続いているようで、その影響で妊娠も出産も難しいと言われているらしい。
そんなこと、私は全く知らなかった。

「それにね、駿って私には『子供なんていらない』って言うくせに、子供の前ではとっても幸せそうなの。きっと無理しているってことだと思うわ」
「そうかな」
違う気がするけれど。

私が見ていても駿は桃花が好きなんだと思う。
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