極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
妊婦に油断は禁物です
「高城太郎です」
「妹の桃花です」
桃花と太郎さんが『初めまして』の挨拶をして、4人でテーブルを囲む。
「へぇー、太郎さんはお医者様ですか」
「ええ」
「駿から聞いてなかったの?」
てっきり桃花は駿から聞いて知っているんだと思っていた。
「駿は何も言わないんだもの」
「嘘だよ、俺が話そうとしても桃花が聞こうとしなかったんだろ」
「そんなこと」
そのまま桃花は黙ってしまった。
10年以上疎遠になっていた私たち姉妹。
憎いとまではいかなくても、お互いに避けていたのは間違いない。
「まあよかったよ。お前たちが仲直り出来て」
「うん」「そうね」
こんなことでもなかったら、桃花と会うことはなかったのかもしれない。
「ところで、2人はどうして東京に?」
この状況が理解できていない太郎さんが、2人を見ている。
「えっと・・・」
「それは・・・」
まさか「離婚する」って逃げてきた桃花を、駿が追いかけて来たと言うわけにもいかず、へへへと誤魔化すしかない。