極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
なんだかんだと言いながら、私と桃花は朝方まで話をしていた。
狭くて眠れなかったのもあるけれど、久しぶりに会った興奮から目が覚めてしまって眠ることができなかった。

「お姉ちゃん、大丈夫?顔色悪いけれど」
「ぅ、うん」

いつもより早く起き出して朝食の用意をする私は、自分でも体調の悪さに気が付いている。
でも、せっかく再会した妹と駿と太郎さんのために朝食くらいは用意したくて無理して動いていた。

「桃花、これ運んでくれる?」
「うん」

桃花と駿は休みを取って東京に出てきているらしいし、太郎さんは残務処理の為遅めの出勤で、いつも通り仕事があるのは私だけ。だからってわけじゃないけれど、1人時間に追われているようで焦っていた。

「うわー、美味そう」
やって来て駿が声をあげる。

「でしょ」

これは、子供の頃駿のお父さんが作ってくれていたピザトースト。
たっぷりの野菜と甘めのトマトソースが味の秘訣で野菜嫌いの子供でもペロリと食べられる人気のメニューだった。

「懐かしいなぁ」

よかった、喜んでくれて。作った甲斐がある。

「お姉ちゃんこの紅茶すごくおいしいわね」
「うちの店でも1番人気なのよ」

桃花も駿もうれしそうに朝食を食べてくれる。
でも、おかしいなぁ太郎さんの表情が暗い。

< 137 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop