極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「いいから、座っていて」
硬い表情の太郎さんにピッとソファーを指差され、座るしかない空気.

はしゃぎ過ぎたのは自分でも反省している。
駿と桃花がいるから、調子に乗ってしまった。

「いいわね、お姉ちゃんは優しい彼氏がいて」
冗談のように桃花が言い
「悪かったな、優しくない旦那で」
駿が拗ねて見せる。

かわいいな。
そして、うらやましいな。
好きな人を好きだと言える関係。それは私の知らない世界。
どんなに太郎さんを思っていても、口に出すことはできないんだから。

「美貴さん顔色悪いよ、今日は休んだ方がいいんじゃないの?」
1人真剣な顔の太郎さん。

「大丈夫、今日はバイトも2人入っているから。それに、お得意様の来る日だから、今日は私がいないと」
「無理するんじゃないよ」
「わかってます」

この時、私は油断していた。
自分の体の中で命を一つ育てているんだって自覚が足りなかった。
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