極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
思えば、朝から体調が悪かった。
最初は寝不足のせいかと思ったけれど、家を出るころからいつもと違う何かを感じていた。
そして、その違和感の正体が何なのかわからないまま出勤した。

「美貴さん、大丈夫ですか?」
「うん」

お店を始めた時から月一でやってきてくれる上得意さんが、2時間もしゃべってたくさん買い物をしてくれた。
当然私はその話に付き合いながらずっと立ちっぱなしで応対し、お客様が帰った後はカウンター席に座り机に突っ伏した。

何だろうこの倦怠感は。
熱がある訳でもないのに、体がすごくだるい。

「少し奥で休んで下さい」
沙月ちゃんがこんなに心配するくらい私は酷い顔をしているんだろう。

「そうね、少し休ませてもらうわ」

ヨイショッ。
何とか体を起こし歩き出そうとしたその時、

アッ。
私の動きが止まった。

嘘、ヤダ。
どうしよう・・・

この時、自分の体から流れ出る何かを感じた。
そして、

「美貴さんっ」
駆け寄ってくる沙月ちゃんの声。

私はその場にうずくまってしまった。
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