極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
しばらく動けなかった私だけれど、沙月ちゃんの手を借りて何とか立ち上げりタクシーを呼んで一人病院へと向かう。

着いたのは、妊婦検診をしてもらっている大学病院。
当然そこは太郎さんの職場で、気まずさはある。
出来れば見つかりたくないなとは思うけれど、今はそんなこと言っている余裕もない。


「出血は続いていますか?」
「いえ、今は止まっています」

トイレで確認した時にも、下着に少しつく程度で感じていたほどのことはなかった。
初めてのことに驚いて救急外来へ来てしまったけれど、もしかしたら休んでいたらよかったのかもしれない。

「もう少ししたら先生がみえますので、お待ちください」
「はい」

私の主治医は産科の部長先生。
太郎さんのお父様の友人で、太郎さんの事も子供頃から知っているらしい。
正直初めの頃には病院を変えることも考えたけれど、診てくださっている部長先生がとってもいい方で結局離れられなかった。
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