極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
マンションを出て、太郎さんに教えられた通りに角を曲がったところに公園があった。
広い敷地に広場があり、遊具や砂場があって散策もできる。大人も子供も楽しめるくつろげる場所。

ああー、気持ちいい。
やっぱり東京とは空気が違う。

近くのベンチに座り両手を突き上げて深呼吸をすると、清々しい気分になった。

こんなところで暮らせれば、きっと幸せね。
子供も伸び伸び成長できそうだし、大人だってゆったり過ごせそう。

その時、
「ママ、待ってよー」
小さな子の声が聞こえてきた。

「もーヤダ、抱っこ」

4歳くらいかな。お母さんらしき女性の側まで行くと、地面に座り込んでしまった。
あーあ、とっても素敵な服を着ているのに、泥で汚れてしまう。

「歩かないなら置いて行くわよ。今日は敬也が自分で歩くって言うから電車で来たんでしょ?」
「だって・・・」
泣きそうな顔でプッと頬をふくらませる男の子。

「ママは荷物があるから抱っこできないって言ったわよね?」
「うん。でも・・・疲れた」

フフフ。かわいいな。
私もあんな風に子育てするのかな。

親子は結構真剣に会話をしているんだけれど、見ている私は微笑ましくてニコニコしながら眺めていた。
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