極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「すみません、荷物だけ置いたらすぐに帰りますから」
「そんな、ゆっくりしてください」
って、私が言うのもおかしいか。

「ママ、ジュース」
大人の事情を分かるはずもない男の子はあくまでもマイペース。

「もう敬也(たかや)、美貴お姉さんにご挨拶は?」
真理愛さんが注意すると、
「こんにちは」
ちょこんと頭を下げてかわいいご挨拶。

「こんにちは、敬也君。ちゃんとご挨拶できて偉いね」

もともと子供は嫌いじゃないと思っている。
中には憎たらしい子もいるけれど、基本的に子供はかわいい。
でも、実際自分が育てるとなるとそうも言っていられないのかな。

「敬也君は何歳?」
「4さい」
小さな指を4本立てて見せてくれる敬也君。

うんーん、たまらない。
ギュッ抱きしめたくなる衝動を抑えるのに必死。

「とってもいい子ね」
思わず頭をなでた私に、
「わがままで困っているんですよ」
真理愛さんの声。

そうかなあ、そうは見えないけれど。
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