極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
いつかは話をしないといけないとわかっていた。
ただ、太郎さんの隣があんまり居心地よくて逃げてしまった。

「まず、美貴さんは結婚する気がある?」
「ないわ」

1人で生きていくって思い続けて生きてきたんだから。

「僕は、美貴さんとずっと一緒にいたいと思うけれど、君は違うの?」
「それは・・・」

なんかずるい聞き方だな。

「僕のこと、嫌い?」
「嫌い、じゃない」
さすがに嘘は付けない。

「お互い好き同士ってことでいいんだね」
「ぅん、まあ」

「お腹のお子供は、僕の子だよね」
「違い、ます」
・・・ごめんなさい、嘘。

「美貴さん知ってる、この時期の赤ちゃんはおなかの中で外の会話が聞こえているんだよ」
「え?」

「もう一度聞くよ、子供の父親は僕だよね」
「・・・」
唇が震えて言葉が出ない。

「何で違うって言わないの?」

ずるいよ太朗さん。
わかっていてこんなやり方は卑怯よ。

「僕は自分の子が美貴さんのお腹の中にいると信じている。そして、美貴さんも子供も手放す気はない」
「太郎さん・・・」
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