極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「美貴さんは、何が怖いの?」

「・・・」

「好きだと言ってくれる僕の隣を離れようとする、その理由が聞きたい」

「それは・・・」

人の気持ちを言葉にするって本当に難しい。
簡単には表せない複雑な感情が入り混じっているんだから。
それに、現実問題として太郎さんはもうすぐ東京を離れるわけで、一緒にいることは物理的に無理。
だから、

「美貴さんにとって今一番大切なことは」
「それは赤ちゃんを無事に生むこと」
思わず遮って答えた。

「そうだね。でも、僕にとっては子供と同じくらい美貴さんも大切だよ」
太朗さんが付け加える。

そうね、私だって太郎さんに何かあれば全力疾走で駆け出すかもしれない。

「美貴さんは、もし大切な人のために仕事を休まないといけないとなれば、休むだろ?」
「ぅ、うん」

もちろんそうならないように最善を尽くすし、休むにしたって周りに迷惑をかけないように準備するけれど、最優先は赤ちゃんの事だろう。

「僕も同じだよ」
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