極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「どこでどう暮らすのか、それはゆっくり考えよう。でも、共に生きたいと言う思いは確認しておきたい」

ああ、なるほど。
でも、

「太郎さんなら、私なんかよりよっぽど素敵なお嫁さんが」
「美貴さん、何度も言わせない。僕が選ぶのは美貴さんだよ」
「でも・・・」

ムギュッ。
「痛っ」
いきなり頬をつねられて声が出た。

「困ったママだな。素直じゃない」

だって、
「仕方ないじゃない。これが私なんだから」
今更素直さなんて求めないでほしい。

「そうだね。意地っ張りで頑固ででも本当は寂しがり屋な美貴さんと、僕はいつまでも一緒にいたい」
「太郎さん」

私もあなたが大好き。でも、一緒にはいられない。
だって・・・
昨日の夜遅く、たまたまお父様と太郎さんの電話を聞いてしまったから。
『もう少しだけ東京に残らせてもらえませんか?』
確かに太郎さんはそう言った。
きっとそれは私と赤ちゃんのためだろうけれど、ダメだよ。そんなことしたら太郎さんの医師としてのスキルが変わってしまう。

この話はどんなに頑張っても平行線。
簡単に答えが出る訳もなく、どちらかが折れるしかない。

「もう少しだけ考える時間をください」
私はきちんと頭を下げて待ってくださいとお願いした。
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