極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
初めて美貴さんに会った時、野良犬だったタロウを膝に抱き話しかける姿にくぎ付けになった。

俺は別に動物が好きなわけではないし、どちらかと言うと小動物を見て「かわいぃー」を連呼するタイプの女性は苦手だ。
性格がひねくれているのかもしれないが、普段はかわいげがなく強がっていても時々笑ってくれるような人が好き。
だからかな、夜の公園のブランコに一人で座る美貴さんに俺は一目ぼれした。

着替えを貸しますよとマンションへ連れて行き、明るい部屋の中で改めて顔を見て、少し前にホテルのバーにいた人だと気が付いた。
確か、綺麗な女性の二人連れ。
途中若い男子に声をかけられ、豪快にあしらっているのが印象的で覚えていた。

拾ってきたものの、タロウをどうしようかと困っている様子の美貴さんに、
「よかったら一晩預かろうか？」
と言ってみたが、
「えっ、」
驚いた顔をされた。

どうやら人並みの警戒心を持っているらしい。そのことに、俺はホッとした。
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