極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
その後、お父様やお母様にもご挨拶して東京へ帰った。

東京へ戻るまでの間、太郎さんは私の手をずっと握っていた。
そして、その温もりが心地いいと私は気が付いた。

きっとこれが、泉美の言っていた『人生観を変えるような人』ってことだろう。
あれだけ虜にならないように逃げていたはずなのに、結局捕まってしまった。


「Will you marry me?」
信号待ちの時、いきなり言われた言葉。
答えはもちろん、
「YES」

いくらオシャレな表現をしても、日常の延長線上にあるプロポーズは私たちらしくて少し笑えた。
でも、嫌いじゃない。

いそがしい仕事を持つ太朗さんとの生活に、不安がないと言えば嘘になる。
お互いに思うようにならないことだって出てくると思う。
それでも今は、彼を信じたい。
裏切られることが怖いからって理由で、逃げるのはもうやめた。
私は私らしく生きるんだから。
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