極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
都心の一等地に立つ豪華なホテル。
泉美のおまけでついてきたとはいえ、眼下に広がる都会の街並みを見るだけで得した気分。
いつか自分のお金でこんなホテルに泊まってみたいな。

「太郎君じゃないか」
「ああ、先生」
すぐそばで、偶然ここで再会したらしい男性の二人ずれが挨拶を交わしている。

1人は60代くらいの白髪の男性。
もう一人は・・・・
あっ、太郎さん。

「久しぶりじゃないか、どうしてここに?」
年配の男性が不思議そうに太郎さんを見ている。

「出向で今東京に来ているんです」
「そうか。それじゃあお父上もお寂しいだろう」
「さあ、どうでしょう」

ハハハと笑いながら太郎さんは受け流しているけれど、少し困り顔。
お父様の話は気が進まないみたいね。

「アレ、美貴じゃないか」
今度は背後から私に声がかかった。

え?
この声は・・・
一瞬背中がゾクゾクして、私は動けなくなった。
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