極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
それからは、勧められるままに何杯かグラスを空けた。

「どうした、酔ったのか?」
「ええ」

もともとお酒が弱い方ではないけれど、空腹で飲んだせいか珍しく酔いが回ったらしい。
フワフワとしてとってもいい気分。
でもこのくらいで辞めておかないと、帰れなくなってしまう。

「場所を変えて飲みなおすか?」
「いえ、私はもう帰りますから」

早くこの場から逃げ出したくて断ろうとしたのに、

「じゃあ送ってやるよ」
勝手に私の荷物を持ち立ち上がっている。

マズイぞ。
このままではどこかに連れて行かれそう。
いざとなれば大声を出してでも逃げだすしかないけれど、できるだけ騒ぎは起こしたくない。

「ほら、美貴」
座ったままの私を立ち上がらせようと男性が私に触れた瞬間、
「イヤっ」
声を上げて男性の手を振り払った。

その時、

「美貴さん、どうかした?」
耳覚えのある声が聞こえてきた。
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